危険な家庭教師? 女子高生(スケバン)に愛の手料理
原作話:危険な家庭教師
惚れたわ!家庭教師!(アニメ)
あらすじ
ふとしたきっかけで、
1億円の借金を抱えてしまった獠。
払えないのなら相応の働きをしてもらうと脅しを
かけてきたのは、なんと竜神会のヤクザの組長。
獠は既に1億円は使い果たしてしまっており、
仕方なくその依頼を吞むことにする。
依頼されたのは組長・信夫の実の娘である
女子高生・さやかのボディーガード。
さやかは父に似合わずたいへんな美少女であったが、
一方で札付きのスケバンを従えるスケバングループの
トップに就く存在でもあった。
獠は信夫の推薦で家庭教師としてさやかの下に
送り込まれ、彼女に目通しを願うが、
さやかはそれを鬱陶しがって
自分の舎弟である不良を獠にけしかける。
しかし獠は銃を取り出すとこれを不良に突きつけるや
否や、不良たちはあっという間に逃げ出してしまう。
獠は身構えるさやかと親睦を深めるために
彼女をディスコに連れて行き、酒をかっくらう。
そんな折、二人の前にブルーオイスターを名乗る
不良たちが詰めかけ、さやかを攫おうとする。
しかしそこに立ちはだかった獠は、凄まじい強さで
銃を抜くまでもなく、素手で男達を撃退してしまう。
翌日、獠は手料理を作ってみせるも
さやかがそれを受け取らなかったので、
獠は新任教師のふりをして彼女の通う女子高に
潜入し、さやかのクラスに入り込む。
獠はさやかの友人のスケバンに詰めかけられるも、
みごとにそれを躱してみせると
さやかの父兄を名乗り、手弁当を手渡す。
だがさやかはまだ獠のことを信用しておらず、
その日の帰り、まだ待っていた獠を舎弟の車で
置き去りにすると、暴走族の舎弟たちを
獠に襲わせることで追い払おうとする。
だが獠はこれもあっさりと片付けてしまう。
さやかはあらゆる手がきかない獠相手に
手を焼き、なんとしても獠を追い払おうと
寝起きを襲う、ウソ泣きからの不意打ち、
果てには色仕掛けをして獠に差し入れをしにきた
香に誤解をさせるなどさまざまな手を使うものの、
そのすべてを獠にかどわかされてしまう。
だがそんな折、ある日の夜に
窓ガラスをぶち破る轟音とともに
ブルーオイスターたちがさやかを奇襲し、
攫っていってしまう。
だが攫われたさやかは小生意気な態度を崩さず、
ブルーオイスターの首謀者である寅吉という
男の名前を叫ぶと、言われた通りにその男は
姿を現す。現れたのはまるで子供のように
低身長の丸坊主な小男。
彼こそが竜神会の対抗組織・青堅会の
跡取り息子だった。彼は、さやかの許嫁なのだ。
寅吉は、ディスコにてさやかに罵倒されたことを
きっかけに、自分を見直させるために
ブルーオイスター、またの名を青堅会の
自分付きの若造をけしかけ、攫わせようと
していたのだった。
ブルーオイスターという名も、日本風やくざの
名前を嫌っていたがために寅吉が
自称させていたものであった。
しかしその一部始終を獠は聞いていた。
獠は姿を現すと、信夫は青堅会と手を切るために
獠をさやかの許嫁にしようと画策していたことを
ばらし、それに寅吉が激怒したことで
若造たちは獠に挑みかかってくるが、
獠はこれを返り討ちにしてしまう。
獠はこの騒動を収めたことで、もはや
さやかの所にいる理由はなくなったと
姿を消すが、しかし獠の後ろ姿を見るさやかは
それに憎からぬ感情を抱くのであった。
原作とアニメの違い
冒頭部分の流れが異なり、原作の話がかなり圧縮されている
以上の経緯から、娘のボディーガードを頼まれた際に幹部や信夫のボディーガードではなかったのかと尋ねるシーンがアニメではカットされている
原作では信夫はディスコのことを上手く発音できず「デスコ」と言っているが、アニメでは普通に喋っている。また「マンションで一人住まいを~」の後にユニオンとの抗争で手一杯になっているというセリフも差し替えなどなくカット。以上の話の後の「断ろうにも断れないだろ」のシーンもカット
獠がさやかを養女だろと称して否定された後の「ホントならこりゃ世界の七不思議」のセリフがカット
原作ではさやかはスケバンの「頭(ヘッド)」だと明言されているが、アニメではセリフのその部分だけがカットされたことで不明瞭。ただし立ち位置などは変わっていないので設定は変化がないと思われる
獠がさやかに会いに行く前に信夫から説明を受け、獠が信夫の態度から獠を竜神会の跡目にしようとしていることを見抜き上手く躱されるシーンがカットされ、いきなりさやかに自己紹介するシーンまで飛ぶ
原作では獠のセリフで「便所」「ウンコ」だった部分が、アニメでは「トイレ」「大ちゃん」に変更。またその間にあった「いくら美人でもだすもんはだしますからねえ」がカットされ、代わりに部屋から出るさやかに「行ってらっしゃい」と見送るシーンが追加
原作ではさやかの取り巻きの男が出ていくように言った後「でないと腕の一本や二本」と脅すシーンがあるがアニメでは該当のやりとりがカット
さやかが逃げていく二人に「ちょっとあんたたち」と呼び止めるセリフが追加
ディスコにてさやかが獠に「酒が強い」と皮肉を言い、獠が「自分でもこんなに強いとは~」と返すセリフがカット
アニメでは獠が「たまには気晴らしを~」と言った直後に「でも未成年はお酒ダメですよ」という追加ゼリフがある。未成年の飲酒のクレーム回避のためか。その後の「おれ」の一人称も「ぼく」に変更
ブルーオイスターの不良たちが獠たちを遠目から見ているシーンがカット
獠が「クビになったらどんな目に遭わせられるか」と言った直後に「私はあなたの奴隷にして犬です」という旨を言うシーンがアニメではカットされ、さやかの「知ったこっちゃないね」というセリフでまとめられる
原作とアニメでブルーオイスターのセリフが大筋は変化はないが台詞自体はかなり変更されており、不良たちの「ボスの所へ来てもらおう」という目的を言及するセリフが削除
原作の獠による不良の腕をつねった際の「しびれちゃいましたぁ?」というセリフがアニメでは「あら、痛かったですか?あの、軽く触っただけなのに」というセリフに変更
原作では不良に叩き込んだ腹部への一撃が突き上げだったがアニメではストレート
さやかが起床するシーンが原作では獠が朝立ちによってもっこりしているものを見て絶叫の末顔面を踏みつけるというものだったが、アニメでは料理を終えた獠がおたまで音を出して起こすというものに成功。また原作では目覚めが悪いのを「飲み過ぎた」と飲酒について言及しているがアニメでは単純な寝不足になっている。その後のシャワーを浴びるシーンもカット
朝食のシーンで原作でさやかが「ここをやめても勤め口はある」と話し出すシーンがあるがアニメではカットされ、直後ディスコでのケンカについて言及するシーンと繋げられている
原作では昨夜のケンカを覚えていないと言った獠が「自分はケンカをやったことがないが、自分が酒を飲むと次の日に飲み相手が青アザだらけになる」「理由を聞いても教えてもらえず、相手は二度と飲みたがらない」という旨を話すがアニメではカット
原作で借金を肩代わりすると話したさやかが「あんただって自由になりたいでしょ」と言うシーンがあるがアニメではカット
原作ではギャグの一環としてテーブルの上の料理をぶちまけたさやかに「せっかく作ったのに」と獠が皮肉を言うシーンがあるがアニメではカット
原作で女子高に入った獠が3年4組の教室に入るまでのシーンがすべてカット。また獠が出て行かないことを「家に居座り続ける気ならいつまでもいればいい」と内心で愚痴るさやかのモノローグがカット
教室に入った獠が黒板に自分の名前を書いて自己紹介するシーンがカット
タバコを吸っている学生を止めさせる際に原作では手のひらを押し付けて火を消していたが、アニメでは横から手を添えて制止する構図に変更。その際のセリフも「将来子供うみたければね」だったものが「健康のためにやめた方がいいぞ」に変更
タバコを注意された学生とは別の学生がナイフを突きつける際のセリフが「ダチを離せ」に変更
金髪の学生を見つけた獠が墨汁を持ってきて染め直すシーンがカット
本来のクラスの担当である萎騒先生の存在そのものがカット。その代わりに獠が生徒たちに「てめえホントに先公かよ」と凄まれるシーンが追加
獠が弁当を届けた後教室から出ていくシーンがカット
校門でさやかを待っていた獠がカレーパンを勧めるシーンがカット(カレーパンを食べてはいる)
舎弟たちに迎えにこさせたさやかが「料理が無駄になった」という旨を話した後の獠の返答が「ムダにはさせません」から「そんなことにはなりませんよ」に変更
原作のさやかが「バイク相手に素手ではどうしようもない」「あたしが逃げ切るまでふたりとじゃれてなさい」という旨のセリフが削除。その後の不良たちの「よそ見してるとひき殺す」のセリフも「おっさん、追っていこうたって無駄だぜ」に変更
原作ではさやかを連れ戻すまでの流れが、不良たちをキック一発でKOしてから銃を撃ち車のタイヤを破壊させスピンさせるという流れだったが、アニメでは不良たちを叩きのめす直接の場面がカットされ、不良たちから奪ったバイクで車を追いかけながら銃で撃つ流れになっている
原作ではブルーオイスターのリーダーが部下たちに檄を入れるシーンはこのタイミングで挿入されるが、アニメではディスコでのケンカが終わった直後。また原作での「その男とさやかを引き出せ」というセリフがアニメでは「その男」の部分がカットされている
原作でさやかの不意打ちを躱してからの「たく不健康な~」から「~家庭教師さ」までのセリフがアニメではカット
さやかの監視に来る清掃ゴンドラの作業員と信夫のやり取りがカット(描写自体はある)
原作では着替えを持ってきた香の居場所が「近くの公衆電話」で「5分」と明言されていたがアニメでは断言がなくなった
色仕掛けをしたさやかに対する獠の返答が「目の保養にはなったよ」から「あと5年すれば分からんが」に変更
信夫による原作の「せっかくの娘の誘いをふいにしてもらっては困る」という旨のやりとりがアニメではカット
原作で獠が言っていた「変な親子だ」というセリフが香のものに変更
原作に存在したさやかが香のところに舎弟をけしかけて返り討ちにされるくだりがカットされ、ゴンドラが去った後すぐに夜のシーンに移る
原作では夜に来たゴンドラの主を父だと思ったシーンでさやかは怒鳴りつけるなど好戦的な態度を見せているが、アニメでは付き合ってられないなどと言いながら顔を背けている
さやかが攫われる際の「番犬っ!ポチッ!」のセリフが削除
さやかがバイクに乗せられて不良たちに攫われ、そのバイクの中に獠が紛れてついていくシーンがカット。その関係でギャングの一人にモヒカンにしていないことを訝しまれるシーンもカット
寅吉がバッファローを「よくやった」と労うセリフがカット
寅吉の身代わりにされているバッファローに「かわいそうに」というさやかのセリフが追加
さやかがバッファローを差して呼ぶ「タコ」の呼称が「ゴリラ」に変更
さやかが寅吉相手に上げ底のブーツを慣れないブーツは脱げと非難するシーンがカット
原作でさやかが寅吉に対して言う「チビ」の呼称がすべて「タコ」に変更。先述のバッファローに対する呼称をスライドさせる形
原作ではさやかと寅吉が許嫁だった理由が「組織のために」決めたことだという話だったが、アニメでは「親同士が勝手に決めたこと」としか言われていないために理由が不明瞭
原作では寅吉がさやかの発言に激怒したのは「チビ」を連呼した上に「ド」を付けたからだったが、アニメでは「タコ」を連呼した上に「ス」を付けたから。またさやかに向かって「ゆるせねえ!」と叫ぶセリフが追加
原作で「日本名のやくざがダサくて嫌い」ということを寅吉が口走るのは牛次をバッファローと訂正させる時だったが、アニメではバッファローに二代目と呼ばれた時
原作では寅吉はひとしきり若造たちを追いかけ回した後は「今日はこれで帰る」と言っているがアニメではそれを明言していない
原作ではお前は俺と結婚する運命だと話した寅吉に対しさやかが、親父は青堅会と手を切るつもりだと言い、あの家庭教師とくっつく気だなと訝しむ寅吉という掛け合いがあるがアニメではカットされ、寅吉の啖呵の直後に獠が姿を現す
獠が寅吉の前に姿を現してからの展開が異なる
解説
今回は先に解説した第七話の原作である「待ちつづける少女」の前日譚にあたり、この話を経由して該当の話に進むのだが、アニメ化にあたって話の内容がかなり整理され、この回単独で話が完結するようにまとめ上げられた。
そのために本来は続き物の話の中間、というポジションなのだが、前回がアニメ用の改変があまり上手く行っていないと解説した手前、手のひらを返すようだが今回はそれが非常に上手く行っているといっていい。
というのもまだ当時はシティーハンターという作品のフォーマットがうまく定まっておらず、手探りでやっていた痕跡が垣間見え、連載作品としてどのように話を進めていくかがまだ迷いが見えたところ、
本作はそのあたりを基礎的なフォーマットの下に整頓し、シティーハンターとは「こういうのでいいんだよ」という魅力のみを凝縮した回としてみごとに昇華したと言って差し支えない。
原作におけるシーンも、原作における不要なシーンをカットしてテンポよく話を進めるものとなっており、そのうえで原作から本筋でカットされたシーンはほとんどなく、まさに原作の良いところだけを取ってきて作られた非常に完成度の高い回である。
特に最後の終わり方については屈指の綺麗さであり、原作だと騒動は完全に完結したとは言い難い終わり方だったものが、その回の騒動についてはすべてが完全に決着がついていることも特徴であり、あと腐れなく綺麗に終わる。まさにケチの付けどころが一切ない。
強いて言うならば原作で獠がショットガンの腕前を見せる派手なシーンがカットされてしまっているところくらいだろうが、それがプロットの魅力を削ぐものには決してなっていない。
アニメ版シティーハンターのベストセレクションを決めるなら、まさにこの回をその一つとして推薦したいと思わずにはいられない回である。
余談ながら、このエピソードは原作において槙村が死亡してからのエピソードで一番古いエピソードなのだが、原作ではその前にコンビを再結成したばかりの獠と香が「将軍」との闘いに巻き込まれる、というエピソードが存在するが、これはアニメ版では完全にカットされた。
このエピソードもハードボイルド時代のエピソードとしては見どころのある話だし、香と獠がコンビを組むにあたっての馴れ初めのようなことが描かれる話でもあるので、見られなかったというのは残念なことである。